持続可能な宇宙利用開発のための小型「水」推進系におけるミッションスタディ
【研究分野】航空宇宙工学
【研究キーワード】
小型宇宙推進機 / 水 / プラズマ / 小型衛星
【研究成果の概要】
近年、小型宇宙機の利用数は急増し大きな発展が期待されている。一方で、廃棄/故障した宇宙機や部品のうち軌道上に残り続けるもの(デブリ)は、その衝突が宇宙機に壊滅的なダメージを与えるため、宇宙利用の持続可能性を脅かしている。この基本対策は,衛星廃棄,軌道上サービス,能動的デブリ除去である.衛星廃棄は、ミッション終了後の軌道低下による大気圏再突入か、低高度における大気抵抗補償とミッションの併用と終了後の受動的大気圏再突入である。前者は運用時間と電力確保が利点であり、後者は確実な廃棄と低高度利用が利点である。軌道上サービスは部分的に能力を失った宇宙機に対して機能を補償することでデブリの増加を抑える.能動的デブリ除去は既にデブリとなった物体を捕獲し再突入させる技術である。
本研究の目的は、このような状況に対して、高い環境適合性をもつ「水」を推進剤とした小型統合推進系の利用方法を深めることである。このために、本年度は、最新の小型宇宙機/推進機の利用・技術動向の整理および衛星廃棄への影響検討を実施した。はじめに、小型宇宙機・デブリの増加によるデブリ回避運用の急増が見込まれ、従来の軌道遷移あるいは軌道維持のための推進性能評価だけでは不十分であることが示された。軌道遷移/維持のための推進系運用は長期間にわたる速度増分の積分量が重要であるため、平均値を用いた評価が可能であった。一方、デブリ回避運用は散発的に短い時間スケールで生じるため、衛星の瞬時状態に大きく左右されるためである。つまり、推進系の価値評価のため短期・長期両者の評価が不可欠となった。このため、衛星パラメータの絞り込みを行い、衛星の瞬時状態を評価しつつも計算コストの点で全期間解析およびグローバル感度解析を可能とする衛星システムモデルを構築した。
【研究代表者】
【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
【研究期間】2021 - 2022
【配分額】13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)