マルチメディアがもたらす文学・文化研究のパラダイム・シフトの研究
【研究分野】文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
【研究キーワード】
マルチメディア / パラダイムシフト / デジタル / パラダイム・シフト
【研究成果の概要】
本研究において、マルチメディアを自分達の研究に使っている日米加の人文科学の研究者を対象に「コンピュータを用いることによってあなたの研究の枠組みは変わりましたかという」アンケート調査を行った結果、次のような結果が得られた。
回答数54
1. 「枠組みは変わっていないと思う」日 11 米 5
2. 「よく分からない」(「研究の初めからコンピュータを使っていたのでよく分からない」も含む)日 14 米 8
3. 「枠組みは変わった」日 0 米 16
(対象者 米加はマルチメディアを応用した研究のコンファランスペーパーを集めた『コンテクスチュアルメディア』(マサチューセッツ工科大学出版)に論文を寄せた研究者を中心とした、マルチメディア関係の研究所の研究者。日本は文部省科学研究費補助金重点領域「人文科学とコンピュータ」で研究助成を受けた研究者。)
この結果からいえることは日本の「人文科学とコンピュータ」に参加した研究者は、コンピュータを用いた研究に対して研究助成を受けてはいるが、そのような研究が従来のその分野の研究の枠組みを変えるものではないと思っていることだ。
これに対して、米加の研究者達16名はコンピュータによって研究が従来と変わったと思っている。この16人の米加の人文科学の研究者達うち10人に聞き取り調査をした結果、彼等がコンピュータの新しいメディアとしての特徴を十分に認識し、従来とは異なる枠組みで研究に取り組み、その成果を出そうとしていることがわかった。その特徴とは次のものである。
1) インタラクティヴ性2)非線性3)百科辞書性4)ネットワーク性5)直接性
ここから、すくなくとも本研究で比較した日米加の研究者の間にはコンピュータに対する次のような考え方の違いがあることがわかった。
1. 日本の研究者はコンピュータを個人の道具、機械(同じ作業を早く何度も繰り返すことができる。同じ作業を早くできる、これまでできなかったことを可能にする)、データ処理装置と考える。
2. 米・加の研究者はコンピュータをコミュニケーションの道具、メディア、多元的情報処理ができるマルチメディア、情報の流通を通じて人間と人間をつなぐもの、環境や社会的システムを変えるものと考える。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】1,700千円 (直接経費: 1,700千円)