深層学習を用いた光ファイバ伝送信号の抜本的な品質改善に関する研究
【研究キーワード】
光ファイバ通信 / 光信号伝送 / 歪補償 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / 光非線形歪補償 / リアルタイム処理
【研究成果の概要】
令和2年度において、人工ニューラルネットワーク(ANN)における非線形補償性能を得られるサンプル/シンボル数、学習データとして適切な符号の選択の目途を立てた。その情報をもとに、令和3年度は以下の検討を行った。 (1)EVMを評価基準とし、DBP法による非線形補償性能に対するANNの補償性能の改善効果を定量的に検証した。(2)引き続いて、2次元畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による非線形補償性能の検討を行った。2次元のパラメータとして何を適用するか、について異なる組み合わせについての比較検討を行い、適切なパラメータの選択を行った。
以上の検討の結果、以下の結果を得た。(1)入力データのサンプリングレート4,同時入力シンボル数は1が最適との結果に基づきANNでの非線形補償結果を線形補償のみ、DBPと比較を行った。同じ平均光パワーの28Gbaud RZ-16QAM信号に対して、伝送距離1,000~10,000kmの受信信号に対する補償性能を、ANNおよびDBPについて比較検討した結果、すべての距離で目標EVM値(14.9%)を下回った上でANNが優れている結果を得られた。しかしながら、一部最終結論に至るには詳細検討がさらに必要であることもわかった。 (2)2次元CNNの畳み込み層の入力データ形式として伝送信号のI成分、Q成分をそれぞれ配列の縦軸・横軸に対応させることが、コンスタレーション上での時間変化を表現可能とした。また多数決法の導入が誤り率の改善に有効である結果も得た。その結果、非線形補償性能が高い入力光パワー条件において線形補償のみの場合と比較して得られる結果を確認した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)