超音波画像の4次元表示法の開発
【研究分野】計測・制御工学
【研究キーワード】
超音波画像 / Mモード像 / 境界抽出 / ファジ-推論 / 4次元像 / 弛緩法 / 心臓 / デプス・キューイング法 / 超音波エコー画像 / 3次元表示 / ニューラル・ネットワーク / ランバート・ツェーディング / 局所的ヒストグラム均等化法
【研究成果の概要】
本研究の目的は、超音波エコー法によって得られる生体情報を、対象臓器の3次元構造に注目した動画像として表示することである。良好に3次元表示を行うためには対象臓器の境界をあらかじめ正確に抽出する必要があるが、従来は超音波画像の画質の悪さゆえ、全自動の境界抽出は困難であることが多かった。そこで、我々は弛緩法方式によるファジ-推論を用いた高精度境界抽出法を開発した。そして、産科領域における臨床データに本アルゴリズムを適用した結果、高品位な胎児の3次元像を得るのに成功した。
今研究期間中には、このアルゴリズムを心臓に適用した。しかし、動きの激しい心臓が対象となると、Bモード像はさらに画質が劣化し、境界抽出は極めて困難になる。一方、心臓診断には、Bモード像における1走査線上の時間的変化を表示するMモード像が広く用いられている。これは、Bモード像にくらべMモード像の方が、境界を認識しやすいからである。そこで我々は、既に提案している弛緩法方式ファジ-推論による境界抽出法を、心臓データ用としてMモード画像の特徴を活かせるように改良し、臨床データに適用した。
データ収集は以下の2通りの方法で行なった。まず、体表に探触子をあて逐次数心拍毎に2.5度おきの扇動走査を行ない、4次元データを収集した。このとき、心電図を同時に記録した。また、口から食道へ挿入した探触子を逐次1心拍毎に引抜きながら、4次元データを収集した。そして、収集したデータに改良した本アルゴリズムを適用し、組織境界を抽出して、デプス・キューイング法により4次元表示を行なった結果、本アルゴリズムの適用によって、意味のある4次元像を得ることが可能になることを確認した。その他、今研究期間中には膨大な4次元データを一括して処理できる計算機環境を整えた。
【研究代表者】