波長多重方式光通信ネットワーク用マイクロマシン光マトリックススイッチ
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究キーワード】
光通信 / マイクロマシン / 光マトリックススイッチ / 異方性エッチング / マイクロアクチュエータ
【研究成果の概要】
本研究の目的は、マイクロマシン技術を利用してn対nの光通信路切り替えが可能なマトリックス光スイッチを製作し、高密度波長多重光通信(DWDM)ネットワークの実現に貢献することである。光スイッチの構造は、n本の入力光ファイバからの光ビームに対してn2個のマイクロミラーのうち適当なものを挿入して反射し、n本の出力光ファイバの中から望みのものを選んで結合させる形として、次の成果を得た。
(1)マイクロマシーニングを利用した高精度ミラーとファイバー位置決め構造 シリコン単結晶基板のウェット異方性エッチングを利用して、基板に垂直なマイクロミラーと、ミラー面に対し45度の角度を持つV溝を同時に形成した。V溝に光ファイバーを入れることで、実装がきわめて容易になった。また、結晶方位面に従ってあらかじめ光軸が整合しているため、損失を1dB以下に低減できた。さらに反応性プラズマによる垂直ドライエッチングとシリコン単結晶基板のウェット異方性エッチングを順次用いることにより、高集積度の可動マイクロミラーアレイを製作した。入出力ファイバー間の距離を短縮して挿入損失の増加を抑制することができた。
(2)自己保持機能を持つ電磁駆動アクチュエータアレイ 可動マイクロミラーを動かすのに、電磁石と永久磁石を組み合わせた駆動部によって、可動ミラーの底部に付加した磁性体を吸引する方式を選んだ。可動ミラーを支えるばねの剛性と、永久磁石の磁力とを適切に設計することで、双安定動作を実現し、自己保持機能を持たせることができた。スイッチ切り替え時のみに電力が必要な構造とし、大幅に消費エネルギーを低減した。ミラーアレイに対応した超小型コイルアレイの製造プロセスを確立し、直径500〜800μm、導体厚み20〜50μmの渦巻き型コイルアレイを作った。単体のコイルに2A程度のパルス電流を流し、十分な磁界を発生できることを確かめた。
(3)光スイッチの性能評価 電磁駆動の2×2スイッチを作り、シングルモード光ファイバーに対し挿入損失0.8dB以下、切替速度2ms以下、消光比50dB以上、2千万回以上の寿命などの性能を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安宅 学 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
年吉 洋 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 講師 | (Kakenデータベース) |
小林 大 | 東京電機大学 | 工学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
澤田 廉士 | NTT通信エネルギー研究所 | ネットワークインテグレーション研究部・光マイクロマシン研究グループ | 主幹研究員 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】13,700千円 (直接経費: 13,700千円)