二酸化炭素貯留層のガスリーク補修に対するポリマー架橋処理の適用
【研究分野】資源開発工学
【研究キーワード】
二酸化炭素 / 帯水層 / 隔離 / ゲル / 多孔質媒体 / 地球温暖化対策
【研究成果の概要】
CO_2の地中処分においては,帯水層の上部に存在する不浸透性の地層が帽岩(キャップロック)の役割を果たしてガスが封入されることを前提にしているが,地層中の断層や割れ目を通じてガスのリークが発生することが懸念される。本研究では,CO_2ガスを封入した帯水層からのガスリークを止める対策技術として,ゲル生成剤(ポリアクリルアミド,アルミン酸ナトリウム,水酸化ナトリウムの混合水溶液)の注入によるCO_2ガスリークの補修の可能性を,室内実験で検討した。
ガラスビーズを充填した多孔質媒体コアヘゲル生成剤を注入する実験によってガスリーク補修の効果を検討した結果,以下の知見が得られた。(1)CO_2ガスの存在するコア内へのゲル生成剤の注入処理によって,CO_2ガスの流出を遮断することができる。ゲル生成剤の圧入とCO_2ガスの圧入を繰り返すことによりコア内にゲルが生成し,コアの浸透率は初期の1/16~1/115に低下する。(2)ゲル生成によるCO_2ガスリーク遮断の効果(浸透率低下の度合い)は使用するゲル生成剤のポリマー濃度,ポリマーの分子量と加水分解率およびコアの浸透率に依存する。本実験では,平均分子量約1,300万,加水分解率30%のポリアクリルアミド500ppm,アルミン酸ナトリウム250ppm,水酸化ナトリウム250ppmのゲル生成剤を使用した場合に,約10μm2の浸透率コアからのガスリークを遮断できることを確認した。(3)多孔質媒体内に長さ1mのゲルが生成した場合は,約2.0MPaまでのガス圧力を保持できる。
実際の地層へ本手法を適用するにあたっては,適用する地層条件を模擬した実験が必要であるが,実際の地層の浸透率は本実験で用いたコアの浸透率よりもかなり低いため,ポリマー架橋処理によるCO_2リーク補修の可能性は高いと判断された。最後に,現場への適用にあたっての研究課題を抽出した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長縄 成実 (長縄 成美 | 長縄 茂実) | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)