細菌が行う電子・イオンの授受による半導体結晶形成機構の解明と制御
【研究キーワード】
バイオミネラリゼーション / 細菌 / 結晶成長 / 化合物半導体
【研究成果の概要】
本研究は、生物が鉱物を作り出す反応であるバイオミネラリゼーションを用いた化合物半導体の結晶成長に関するもので、その機構の解明を最終目的としている。当該年度、研究代表者と分担者は、主に硫化鉛とGaAs系化合物の合成に取り組んだ。硫化鉛を合成する菌叢においては、継代日数を変化させて複数回継代を行うことで、菌叢を構成している菌の種類の分布を変化させることができ、それによって硫化鉛の薄膜化と球状化の形状の違いに変化が生じることを示唆する結果を得た。また、GaAs系化合物を回収・合成する菌においては、菌の増殖を確認し、現時点で断定するための測定が行えていないが、添加元素を回収していると考えられる結果を得た。しかし、透過型電子顕微鏡を用いた観察の結果、GaAs系の化合物が合成されているのではなく、Ga単体の結晶などになっていることが判明した。GaAs系化合物を細菌に合成させるための工夫が必要であることがわかった。
また、別の分担者においては、海洋生物由来の微生物であるShewanella sp. KND-1株を亜セレン酸ナトリウムと塩化鉛溶液を培養液に添加して、培養することで培養液中にセレンと鉛で構成されるアモルファス上の沈殿の形成を確認できた。構成比はほぼ1:1で、培養を長期化させることで結晶性のある沈殿の形成がみとめられた。更に、形成された沈殿物に対して加熱処理(200度~300度)を施したところ、沈殿物からのセレンの昇華と思われる処理物からのセレンの消失現象が確認できた。このことから、反って加熱処理を施すよりも常温下における培養時間の延長によってセレンの沈殿物への沈着と結晶化が促進されることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岡村 好子 | 広島大学 | 統合生命科学研究科(先) | 教授 | (Kakenデータベース) |
阪口 利文 | 県立広島大学 | 生命環境学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
鈴木 道生 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)