Ce系化合物における圧力誘起電子転移及びその磁場効果の研究
【研究分野】固体物性
【研究キーワード】
重い電子系 / 電気抵抗 / 磁気抵抗効果 / 高圧
【研究成果の概要】
本年度はCeを中心とした重い電子系化合物のうち、CeInCu_2、CeCu_6及びCePtSi_2に対してそれぞれ電気抵抗、熱膨張係数及び格子定数を高圧下又は高磁場下で測定し圧力誘起の電子構造の変化を確認した。
得られた結果を要約すると以下のようになる。
(1)圧力誘起の電子転移
3つの物質について電気抵抗率の温度変化p(T)を約8万気圧まで測定した。重い電子系物質のp(T)は1気圧で近藤効果特有の極大値を低温(=Tm)でもつが、圧力をかけるとTmは高温側へ移動しそれに伴ってp(T)も大きな変化を受けた。例えばCeInCu_2のp(T)は1気圧でTm=25Kであるが約4万気圧でTm=300Kとなり、これ以上の圧力でp(T)に極大値はみられなかった。これは1気圧ではCeが3価の状態にあったものが高圧下で混合原子価状態に移ったものとして説明される。同様な電子転移はCeCu_6、CePtSi_2においても観測された。
(2)CeInCu_2における圧力誘起の正の磁気抵抗効果の測定
重い電子系物質の磁気抵抗効果は1K以下の温度でf電子がcoherent stateになったことにより磁気抵抗効果が負から正へと変わることがこれまで観測されてきた。しかしCeInCu_2ではCe原子のdisorderのため、これまでこの現象が観測されていない。本研究ではCe原子の電子状態を高圧下で変えることにより4.2Kで1万気圧以上の圧力範囲でCeInCu_2の正の磁気抵抗効果の観測に初めて成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
上床 美也 | 熊本大学 | 教養部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1992
【配分額】1,700千円 (直接経費: 1,700千円)