位相制御したテラヘルツバルスによるレアイベント表面プロセスの駆動
【研究キーワード】
表面 / 反応 / テラヘルツ / 分子振動 / 反応速度論 / 化学反応 / レアイベント / 表面反応 / 触媒
【研究成果の概要】
物性研究所極限コヒーレント光科学研究センター内の実験室に、新たに再生増幅器及び白色光を共有するツイン型光パラメトリック増幅器(OPA)を導入した。二色レーザー誘起エアプラズマによるテラヘルツ放射によって数テラヘルツから中赤外にわたる超広帯域の高強度パルスを生成する光源システムを構築した。このテラヘルツパルスは非対称なサブモノサイクル的形状をしており、電場ベクトルの向きを反転させることが可能である。近赤外フェムト秒パルス(800nm)を固体表面に吸着した分子に照射することにより誘起される光脱離を四重極質量分析計で計測するシステムを構築した。Pt表面における吸着系の光脱離については先行研究が報告されており、我々が構築した計測システムで光脱離が観測できることを検証した。次に、超広帯域テラヘルツパルスをPt(111)表面におけるいくつかの吸着系に対して照射し、テラヘルツパルスが誘起する光脱離の観測を試みた。さらに、近赤外フェムト秒パルスと超広帯域テラヘルツパルスを同期させて吸着系に照射する実験に着手した。また、白色光を共有するツインOPAのシグナル光どうしで差周波発生を行うことで、位相が固定された狭帯域の高強度パルス生成システムの構築に着手し、発生を確かめた。一方、テラヘルツパルス光源を駆使して、10-45THz(波長6-30μm)の超広帯域にわたって30fsの時間分解で複素応答関数を精密に決定することのできる時間分解計測システムを構築し、固体における格子振動直接励起による音響フォノン生成や、相対論的(ディラック)電子が示す光励起キャリアダイナミクスといった固体超高速分光への展開も進めた。これらの実験と並行して、既設の表面分析装置を用いて、対象とするモデル触媒表面における吸着系および表面反応の研究を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松永 隆佑 | 東京大学 | 物性研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】43,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 10,140千円)