「公共景」の概念化と実装に向けたデザインガイドラインに関する研究
【研究キーワード】
公共景 / 公共空間 / アクティビティ / 運営主体 / マネジメント / ジェントリフィケーション / 景観 / 再開発 / 公共性 / VR技術
【研究成果の概要】
2021年度は、「公共景」を作っている人びと(利用主体・運営主体)に関する調査を行った。
まず近年実現した公共空間の代表的な事例として、小田急電鉄によって開発された「下北線路街」について、事業担当者にヒアリングを行った。この事例では、下北沢の地元住民が開発に強く反発した結果、小田急側も「(住民の)支援型開発」へと方針を転換し、賃料を抑えて若者のチャレンジの苗床を作る、共用部を個々の主体のもので溢れさせる、広場に面した場所は店舗が独占するのではなくギャラリーを設置する、収益を生まない小さな緑の広場を整備する、といった様々な工夫が生まれた。住民たちのボトムアップの活動と呼応して、開発側も「どう制限するかではなく、どう使いこなすか」という先駆的なマネジメント方法を実践している。
これらの成果は、共著『コミュニティシップ』(学芸出版社)にて論述した。また、ここでは住民側の様々な取り組みについても取材している。以上より、当初の研究の問い「RQ3:どのような主体が、どのようなきっかけで公共空間に参入しているか?」の知見が整理された。
公共空間への参入については、さらに「公共空間の利用を阻む環境的要因」について詳細な調査を行った。ここでは大学生13名を対象としたワークショップにより、公共空間から人びとを締め出す空間要素「Defensive Architecture」と、それがつくる環境「Defensive Environment」を抽出・類型化した。本成果は、日本建築学会計画系論文集(査読付きの学術誌)に発表準備中である。さらに首都圏居住者800名へのWEBアンケート調査も実施し、コロナ流行前後での屋外行動のニーズ把握も行った。
そのほか、東京近郊以外の公共空間を検討するため、名古屋中心部の代表的事例として久屋大通公園のアクティビティ調査も実施するなど、幅広い公共空間の利活用を調査した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)