今和次郎『日本の民家』(1922)再訪を通した日本の居住空間・景観の変容調査
【研究分野】建築史・意匠
【研究キーワード】
民家 / 今和次郎 / 景観 / 地域 / 文化財保存 / 景観構造 / 民家調査 / 定点観測 / 事物連鎖
【研究成果の概要】
本研究は、1922年に刊行された今和次郎著『日本の民家』に収録された民家を再訪することによって、その後のおよそ90年にわたる、日本の居住空間・景観の変容を調査分析することを目的としている。平成20年度は4月から6月にかけて、Filemakerというソフトを用いて、平成18年度から継続してきた調査のデジタルデータベースを作成した。また、本年度も継続して、今和次郎の行った民家調査の順番、順路、系列を分析し、大きく3つの実地調査を行った。
2008年9月1日から9月4日にかけては埼玉県入間郡飯能町、同県秩父市浦山地区、細久保地区、大滝村を調査した。2008年9月15日から9月18日には千葉県勝浦市部原地区、新官地区および、同県長生郡長生村を調査した。また、2009年2月9日から2月12日にかけて、太平洋岸の静岡県御前崎市、愛知県蒲郡市、三重県志摩市を調査した。調査準備として、野帖の読み取り、当時から現在までの地図、航空写真などをまとめ、今和次郎の訪れた民家に対して基礎資料を作成した。
実地調査に当たっては、各地の教育委員会の協力を得て、基礎資料を参考に、実測調査、定点観測、周辺調査、古老への聞き取りを行なった。今が記録していた家屋もおおむね判明し、可能な場合は、実測を行なった。また実地調査終了後それらを図面化し、旅ごと、民家ごとに分析・考察を行ってきた。結果、本年度は大都市近郊の山村(埼玉調査)、漁村(千葉調査)の変容過程と災害による村落の変容過程(太平洋岸調査)を考察することができ、調査の様子とともに専門誌に発表した。
今年度は最終年度であったが、当初目的の訪問地の約六〇パーセントを消化した。幸いにも継続して他助成を受ける事が出来た。必ず完成させて研究論文、あるいは書籍として発表し九〇年間の変容を具体的に示すつもりである。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
清水 重敦 | 独立行政法人奈良文化財研究所 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2008
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)