ホモトピー空間構造の開発と構造挙動に関する研究
【研究分野】建築構造・材料
【研究キーワード】
空間構造 / CG / ホモトピー法 / プレハブ化 / 自立型構法 / 形態創生 / リッジ法 / 平行閉曲線群
【研究成果の概要】
任意形状の曲面をコンピュータグラフィックスで表現する手法の一つとして、3次元形状を等高線の重なりで表現するホモトピー法が開発されているが,本研究では任意形状の曲面を等高線による平行閉曲線群によって表現し実現化する任意形状空間構造(ホモトピー空間構造)を開発するものである。
ホモトピー構造の特長として,(a)任意形状の平面形に対応できる。(b)無柱の大空間を創出できる。(c)プレファブ化が可能である。(d)自立型構法が採用できる等がある。本研究では(1)基礎概念と建築計画,(2)構造挙動の調査と構造計画,(3)構法と施工法の開発,(4)実用化試験,の研究を実施する計画である。初年度は(1)を行ない、リッジを採用したホモトピー空間構造の設計法を開発した。昨年度は(2),(3)を遂行した。まず,ホモトピー空間構造の設計手法により創生された,シェル構造の載荷実験を行なった。昨年度の研究成果に基づき東京大学生産技術研究所藤井研究室で設計されたホモトピーシェル構造を川口研究室において構造計画のチェックを行ない,金沢工業大学の高山研究室において直径2メートルの規模で試作をした。シェルはプレキャスト構法を用いて製造され,自立型施工法を用いた建設過程においての載荷実験,及び最終形状における載荷実験を行ない,実構造物としてのホモトピー空間構造の有効性について検討した。続いて,実験結果について,材料非線型性,幾何学的非線型性を考慮した有限要素プログラムによる解析結果と比較,検討を行なった。本年度は昨年度に続きホモトピーシェル構造の載荷試験,及び(4)として,既成プレキャスト部材を用いたプレストレストシェルの実用化試験を行なった。実用化試験用モデルは底面直径約5m,上面直径約8mの自由平面形状をもつホモトピーシェル構造であり,居住空間を想定して設定,設計を行なった。東京大学千葉実験所に設置する。天候などの理由で実施施工試験が遅れており,報告書作成の現時点で,施工準備中である。
【研究代表者】