プラズマ平衡構造の自己形成とそれにともなう異常輸送に関する理論的研究
【研究分野】プラズマ理工学
【研究キーワード】
自己組織化 / 自己形成 / 異常輸送 / プラズマ / スペクトル分解 / ヘリシティ- / 乱流
【研究成果の概要】
プラズマ(特にトロイダル電流系)の平衡配位の形成には、プラズマの不安定性の揺ぎを伴う自己形成過程が重要な役割を果たしている。
本研究では先ず自己形成を特徴付ける無力磁場の構造についての基礎理論を展開した。宇宙プラズマの構造に関してChandrasekhar等によって研究されたVx作用素の固有函数が無力磁場を記述する基礎となる。本研究ではVx作用素のスペクトル分解に関する厳密な理論を与え、その固有函数が完全直交系を成すことを証明した。Vxのスペクトルは疑スカラ-であり、ヘリシティ-に対応付けることができる。
構造自己形成の動的過程はヘリシティ-密度の輸送を解析することによってきれいに記述できる。本研究ではヘリシティ-輸送と相関を持つ熱・粒子の輸送を調べ、磁場構造の自己形成過程が必然的に伴う熱的輸送が存在することを明らかにした。この輸送は有限はE_<11>を持つ電磁揺動で駆動され、電子は非線形平行電流、イオンは非線型偏極ドリフトによって輸送される。特にテアリングモ-ドの乱流に関してこの理論をあてはめると、乱流によるJ_<11>の異常輸送がヘリシティ-束で書き表わされ、それに伴った熱・粒子束が発生する事が具体的に示された。
以上の理論はトカマクや種々のピンチプラズマの閉じ込め磁場構造を記述する基礎を与えると同時に、自己形成が異常輸送をもたらすと言う自然な原理と明らかにし、又具体的なモ-ドについて定量的な輸送量の評価を与えているものである。
【研究代表者】