大規模かつ階層的なメソクリスタル構造の構築と無機・有機融合機能の開拓
【研究キーワード】
自己集積 / 自己組織化 / バイオミネラル / 結晶成長 / バイオミメティック / 自己集合 / ナノ材料 / ナノ結晶
【研究成果の概要】
研究目的は、ナノブロックが規則配列した「メソクリスタル」を大規模化して実用的なデバイスへと発展させ、多彩な融合機能を開拓することである。ここでは、マイクロパターン化されたフレームを用いて多様な無機結晶ナノブロックを任意な組成・結晶方位・サイズで集積させた大規模メソクリスタルを構築する。無機ブロックのメソクリスタルが、高強度・イオン伝導性・誘電性などの第1機能を担い、フレームと挿入分子が、柔軟性・刺激応答性などの第2機能を担い、全体として実用的なデバイスへと発展させる。これにより、高強度と柔軟性併せ持つ構造材料、センシングや構造色およびエネルギー変換や生体親和性などを併せ持つ機能材料などの「融合機能材料」を実現する。
前述した目的を達成するため、2021年度では、研究の第1段階として配列と機能発現に適した結晶ナノブロックの設計・合成と分散媒蒸発による初期的な配列を試みた。ここでは、生体構造材料としてフッ素アパタイトや炭酸カルシウムのナノロッド、環境親和材料として硫酸ストロンチウムなナノロッド、蛍光材料としてハロゲン化鉛ペロブスカイトナノキューブ、磁性材料として酸化鉄ナノキューブ、誘電材料としてチタン酸バリウムナノキューブ、光学材料としてシリカナノ粒子や粘土ナノシートを合成した。それぞれが分散媒蒸発にともなう移流集積法などの適切な方法を用いることで規則配列が可能であることを検証した。特に、フッ素アパタイトナノロッドを用いた配列制御では、親和性と蒸気圧が異なる2成分の分散媒を用いることで、垂直・水平・ランダム配列の多規模なコントロールに成功した。これは、大規模メソクリスタルの構築の基礎的な知見として重要である。また、大規模配列の手本とし、サンゴ、放散虫、有孔虫のナノ構造の解析を進め、メソクリスタル構造と機能の相関性に関する新たな知見を得た。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2025-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)