精密に設計された構造単位からの規則的シリカ系ナノ構造体の創製
【研究分野】無機工業材料
【研究キーワード】
無機合成 / ハイブリッド材料 / ナノ構造体 / オリゴマー / 自己組織化 / ゾルゲル法
【研究成果の概要】
本研究課題では、精密に設計された出発分子を構造単位とし、自己組織化により規則的シリカ系ナノ構造体を合成した。シリカは地球上に最もありふれた物質のひとつであり、吸着や触媒等の応用に優れている。シリカ系物質と有機物のハイブリッド化は材料化学における重要な課題である。我々は無機部と有機部を同一構造中に有する分子が自己集合的にナノ構造を形成することに注目し、出発分子の構造と生成物の機能との相関解明に取り組んだ。特に、制限空間や界面の異方性の利用といったマクロ構造制御手法を取り入れた研究を展開した。
本研究の成果は大きく分けて以下の4つの成果から構成される。(1)光重合可能な官能基を有する有機アルコキシシランからの層状ハイブリッド薄膜の形成とリソグラフィーによるパターニング、(2)両親媒性シロキサンオリゴマーの制限空間内における自己集合挙動の調査と階層構造の設計、(3)光機能性有機基を細孔壁に有する一軸配向性メソポーラス有機シリカ薄膜の合成と光学特性の評価、(4)精密に設計された高分子鋳型を用いたメソポーラスシリカの合成と鋳型の細孔表面への固定化、である。(1)〜(3)では、当研究室が新規に合成した両親媒性シロキサン系分子、及びシリカと重合可能な有機分子を出発分子として用いた。これらの精密に設計された構造単位に加え、マクロな構造制御手法を利用し、階層構造・配向を制御した。(4)では鋳型をシリカと重合できるように設計し、鋳型を細孔表面の修飾分子として、均一に固定化する新規手法を提案した。
出発分子の精密な分子設計により、従来法よりも精緻な構造・機能の設計に成功した。また、マクロな構造制御手法を規則的シリカ系ナノ構造体の合成に応用し、階層構造・配向制御という新規分野への足掛かりとなる重要な成果を挙げた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
下嶋 敦 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】15,820千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 1,620千円)