機能性タンパク質ナノブロック複合体創製の基盤的プロセス技術開発と応用展開
【研究キーワード】
タンパク質ナノブロック / 人工タンパク質デザイン / タンパク質複合体 / タンパク質工学 / 構造機能解析 / 立体構造解析 / 自己組織化 / 融合タンパク質 / タンパク質修飾 / タンパク質連結修飾
【研究成果の概要】
本研究の目的は、人工タンパク質ナノブロックへの機能性の付与や応用展開を目指し、機能性タンパク質ナノブロック複合体を創製する基盤的プロセス技術を開発することである。そこで、特に当該年度は、各研究分担者との共同研究を進めながら、主に、①タンパク質ナノブロック複合体の立体構造解析、②新型タンパク質ナノブロックの設計開発、③機能性タンパク質ナノブロック複合体作製技術の開発、④レクチンナノブロックの創製・応用展開などに取り組んだ。
①では、クライオ電子顕微鏡を用いて、人工タンパク質ナノブロック複合体の構造解析に成功した。特に60量体ナノ粒子TIP60は非常に対称性の高い正二十面体型を形成していることを明らかにし、PDB(7EQ9)やEMDB(EMD-31256)に構造座標や電顕マップを登録し、現在論文を投稿中である。
②及び④では、新たなタンパク質ナノブロックとして、糖鎖結合レクチンと融合したレクチンナノブロックを構築し、複合体形成を小角X線散乱や光散乱解析等によって明らかにした。さらに、結合能を測定したところ、大きな複合体ほど多価結合効果により親和性(avidity)が向上する傾向あることがわかった。
また、③では、新たにSpyTag/SpyCatcherシステムを導入し、タンパク質ナノブロックと抗体を後付けで連結することに成功した。今後、他のタンパク質修飾方法等の組み合わせを検討することにより、多価多機能のナノブロックデコレーション技術の確立を目指す。
さらに、⑤タンパク質ナノブロック複合体ワクチンの開発に向けて、抗原を化学修飾するためのシステイン残基を導入したタンパク質ナノブロックも構築した。今後の研究の応用展開が期待できる。
【研究代表者】