オルガノアルコキシシランの自己組織化による無機-有機ナノ組織体の構築と機能化
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
無機有機ハイブリッド / オルガノアルコキシシラン / ゾルゲル法 / シリカ多孔体 / 自己組織化
【研究成果の概要】
1)新規シロキサンオリゴマーの自己組織化によるハイブリッドナノ構造体の合成
炭素数6から18のアルキルシランに3つのトリメトキシシリル基が結合した構造のシロキサンオリゴマーを合成し、酸性条件下での加水分解・縮重合反応について検討した。反応過程の溶液の^<29>Si NMR分析より、分子内反応により環状構造のオリゴマーが主として形成されたことがわかった。この溶液より得られたゲルのXRD分析、およびTEM観察の結果、炭素数が6から10の系において二次元ヘキサゴナル構造、一方、炭素数が14以上では層状構造を有することが明かとなった。このような集合構造の変化に伴って、アルキル鎖のコンフォメーションが変化していることが確認された。さらに、ヘキサゴナル構造のハイブリッドは焼成による有機成分の除去後もナノ構造を保持しており、窒素吸着測定によりマイクロボアを有することがわかった。出発分子のさらなる設計として、ブチル基の末端にフェニルを有する分子からも同様の二次元ヘキサゴナル構造の形成を確認しており、直鎖アルキル基以外の様々な有機基を有する系への展開を示した。
2)アルコキシトリクロロシランからの層状シリカ-アルコールナノ複合体の合成
有機基をSi-O-C結合を介して導入した系への展開を試みた。そのモデルケースとして、疎水基として長鎖アルコキシ基を有するアルコキシトリクロロシランを合成した。アニリン存在下で水を添加することによって、Si-Cl基の優先的な加水分解反応が進行し両親媒性のアルコキシシラントリオールが生成した。得られた溶液を冷却することによって板状の粒子が析出し、乾燥後の白色粉末の構造解析により、層状シリカとアルコールからなる層状物質が形成されたことが明らかとなった。また、得られた複合体を加熱することにより部分的に層間でのエステル化が進行することも確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
下嶋 敦 | 日本学術振興会 | 特別研究員 |
菅原 義之 | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】14,100千円 (直接経費: 14,100千円)