原子分解能“振動”計測法の開発と革新的材料創製
【研究キーワード】
電子エネルギー損失分光 / 格子振動 / 理論計算 / 透過型電子顕微鏡 / 機械学習 / 振動 / フォノン / 第一原理計算 / シミュレーション / STEM / EELS / 分子振動 / ELNES / XANES / 材料開発 / 電子線エネルギー損失分光
【研究成果の概要】
物質を構成する原子や分子の局所的な“振動”は,熱などの外場からのエネルギーによる原子の変位現象であり,相転移や熱伝導,さらに様々な機能発現にかかわる重要な現象である.これまでに申請グループは走査透過型電子顕微鏡(STEM)により測定される電子分光(EELS)と高度なスペクトル計算を融合することで,物質を構成する原子・分子の振動を検出する手法を報告してきた.本研究は,高いレベルにあるSTEM-EELS計測,高精度EELS計算,さらに高速界面・表面モデリングを高度に融合することで局所的な振動を計測する手法を確立し,材料開発に活用することを目的としている.
2021年度においては,界面におけるシミュレーションと計測による格子振動(熱)の影響を調べた.まず,界面モデリングを行い,各種結晶界面における熱振動をシミュレーションにより調べた.その結果,界面における原子振動と界面相転移との相関性を明らかにすることができた.界面エネルギーと,構造転移のための活性化エネルギーからその実験的検証の可能性を調べた.さらに,FIB加工した界面試料に関してSTEM-EELSを用いた実験的な計測も実施した. EELSのプラズモンを用いることで,界面の熱膨張を直接計測することに成功した.さらに,同手法により界面における局所的な熱振動が,界面構造と相関していることを明らかにすることができた.
また,EELSスペクトルの高精度計算に向けて,2021においては多電子計算により励起状態における原子変位の定量計算を行う手法の検討を進めた.クラスターモデルを第一原理モデルポテンシャルに埋め込んで計算を行うことで,励起状態におけるエネルギー曲面を描くことが可能になった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
池野 豪一 | 大阪公立大学 | 大学院工学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)