分子シャペロンを利用したダイナミック機能材料の創製
【研究分野】機能物質化学
【研究キーワード】
シャペロニン / 分子シャペロン / フォトクロミック分子 / アゾベンゼン / GFP / AND論理回路 / 分子機械 / 光異性化 / GroEL / リフォールディング
【研究成果の概要】
大腸菌由来のシャペロニンGroELのシステインをすべてアラニンに変換し、さらに入り口付近の231番目の残基としてシステインを導入した変異体を作成した。この変異体に対し、マレイミド部位を有するアゾベンゼンカルボン酸を反応させ、231番目の残基上にアゾベンゼンカルボン酸を導入した。この化学修飾シャペロニンに対し、酸変性させた緑色蛍光タンパク質(GFP)を加えたところ、GFPの自発的リフォールディングに由来する蛍光がほとんど観測されなかったことから、変性体が化学修飾シャペロニンに取り込まれることが分かった。次に、得られたシャペロニン/変性GFP複合体にアデノシン三リン酸(ATP)を加えたところ、取り込まれた変性GFPが速やかに放出され、自発的リフォールディングによる蛍光が観測された。ここで、アゾベンゼン部位がトランス体の場合、放出速度が遅くなり、アゾベンゼン部位がシス体の場合、シス体と比べ放出速度3倍ほど速くなった。また、この放出速度は、紫外光・可視光を交互に照射することにより可逆的にスイッチできることが分かった。また、カルボン酸末端部にアラニン、ロイシンなどのアミノ酸部位を導入したところ、かさ高いアミノ酸を導入した場合、酸変性GFPの取り込み効率の低下、ならびにATP添加による速い放出が観測された。一方、チロシンを導入したところ、変性GFPの取りこみ効率は維持された一方、ATPを添加した場合に、放出速度が著しく低下することが分かった。このように、立体的要因に加え極性などによって放出速度が大きく影響を受けることが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
津本 浩平 | 東京大学 | 新領域創成科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
田口 英樹 | 東京大学 | 新領域創成科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)