インフォマティックスの先をゆき応用も志向したトポロジカル電子材料の開拓
【研究キーワード】
トポロジカル電子物質 / 第一原理計算 / 単結晶 / 角度分解光電子分光 / 磁気輸送特性
【研究成果の概要】
新概念の提案が理論から続くトポロジカル電子物質を対象として、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用しつつ、そのスキームだけでは探索・開拓することが難しい物質群の開発に挑戦している。
① MIから発掘するスジの良い化合物(「経験」と「勘」に基づく実績を活かし新概念へ発展)
② 現状のMIでは見逃してしまう化合物(複数フェルミ面系、構造敏感な電子相、低次元系など)
③ 今後のMIでも扱うことが難しい化合物(構造非対称系、磁性系、強相関系、超伝導系など)
などを独自の物質・現象・物性・機能の開拓を行う戦略として設定し、「第一原理計算」「純良単結晶育成」「先端分光計」「極限環境物性評価」を武器として実証実験を推進した。
特筆すべき成果としては、中身(3D)と表面(2D)は絶縁体であるが縁(1D)には特殊金属状態を生ずる「高次トポロジカル絶縁体」として Bi4Br4 を確立できたこと [Nature Materials] や、対称性の保護によって運動量空間の高対称点に電子状態が縮退した「クラマースワイル半金属」として CoNb3S6 を確立できたこと [Phys.Rev.B]、空間反転の破れた PbTaSe2 の超伝導状態においてダイオード的な挙動を発見したこと [Nature Commun.] 、歪みでトポロジカル電子相の転移が生ずる TaSe3 を発見したこと [Nature Materials]、伝導電子が局在スピン・軌道の複合自由度と強く相互作用することで現れる「多極子ポーラロン」の準粒子状態をもつ CeSb を発見したこと [Nature Materials] などが挙げられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
黒田 健太 | 広島大学 | 先進理工系科学研究科(理) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
矢野 力三 | 名古屋大学 | 工学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2026-03-31
【配分額】41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)