極超高真空電子顕微鏡による表面-結晶成長ミクロプロセスの研究
【研究分野】結晶学
【研究キーワード】
超高真空電子顕微鏡 / 高分解能・超高真空電子顕微鏡 / シリコン表面の7×7再配列構造 / 透過回析法による表面構造解析 / 高分解能反射顕微鏡法 / 金原子とクラスター構造の高分解能観察 / 表面・結晶成長のミクロプロセス / 表面 / 結晶成長 / 表面再配列構造 / 吸着構造
【研究成果の概要】
本研究では、1) 高分解能・超高真空電子顕微鏡の整備と、2)"その場"観察法による原子レベルの表面・結晶成長過程の観察を行った。
1)では、電子顕微鏡の鏡筒内真空度が【10^(-8)】Paで、試料加熱や蒸着などの"その場"観察機能をもち、かつ結晶表面や微粒子構造を原子レベルで観察するために必要な0.22mmの点分解能を具えた装置を開発した。超高真空を達成するため電子顕微鏡を100℃に焼きだす機構など、多くの技術的改良を加え、真空・分解能・"その場"観察法の三機能を集約し、「電子顕微鏡による表面研究」を飛躍的に発展させる手法を確立することができた。
2)では、超高真空電子顕微鏡法による表面観察法として、a)透過電子顕微鏡法と、b)反射電子顕微鏡法について検討した。透過法では、側面投影像(プロファイル イメージ)法により、黒鉛表面に金原子を蒸着した際に金原子が表面を拡散し、数ケの原子が結合して"核"をつくり、それが次第に大きく成長していく過程を原子レベルの分解能で捕えることができた。また、透過電子回析法を用いることによって、結晶表面の構造が原子レベルで解析できることを、シリコン(111)表面の7×7再配列構造が"対双成・吸着原子・積層欠陥"構造であることを解明することにより、具体的に立証した。反射顕微鏡法による表面観察では、シリコンの7×7再配列表面やこの構造が1×1構造と相転移する過程、さらに7×7表面に金を蒸着した際に形成される表面の超構造などを高分解能で捕えることにより、表面や結晶成長過程を1mm程度の大きさをもつ表面超格子のレベルで調べることが可能であることを示した。
以上、高分解能・超高真空電子顕微鏡の開発と、高分解能表面顕微法・回析法の発展を行い、表面・結晶成長過程のミクロプロセスを原子のレベルで解明することを世界に先がけて行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 直紀 | 東京工業大学 | 理学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
谷城 康眞 | 東京工業大学 | 理学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
YAGI Kastumichi | Tokyo Institute of Technology, professor |
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【研究種目】一般研究(A)
【研究期間】1984 - 1986
【配分額】35,900千円 (直接経費: 35,900千円)