光子―光子および電子―光子相関による超分解能の蛍光寿命イメージング顕微鏡
【研究キーワード】
電子顕微鏡 / カソードルミネセンス / 時間相関
【研究成果の概要】
蛍光寿命顕微鏡においては、光の回折限界に起因して、分子・原子レベルでの機能が重要となる100nm以下の情報が得られない。最近の超解像法等によって分解能の向上は試みられているものの、数十nmが限界である。本研究では、光子ー光子相関および電子ー光子相関測定という全く新しい計測手法により、蛍光寿命顕微鏡による回折限界を打破する。この手法では、電子プローブの空間分解能で測定可能であり、既存の光による寿命顕微鏡の分解能をはるかにしのぐ。高い空間分解能を生かした透過電子顕微鏡ベースの計測によりナノ構造の同時計測・直接対比も可能となる。
このうち、本年度は光子ー光子相関のマッピングシステムの確立を行った。ナノスケールでの発光寿命マッピングが可能となった。加えて、時間相関曲線からは、励起効率、発光効率のマッピングも可能となっている。この手法を用いて、次世代太陽電池や量子ドットなどの高効率発光半導体として注目されているCsPbBr系の金属ハライドペロブスカイト材料の解析および、レーザーダイオードなどに用いられるInGaN量子井戸の解析に着手した。
また、電子―光子相関計測に必要となる高速電子検出器の開発を行った。現在汎用器で用いられているセリウムドープ・イットリウムシリサイド(YSO:Ce)シンチレータからの信号を、光子計測器を用いて時間相関計測ができるように検出器を新たに作製した。また、YSOシンチレータ以外のシンチレータを取り付けられるようにし、発光寿命の短いプラスティックシンチレータも試している。この検出器を用いた電子―光子相関計測により、光励起した電子を選択的にとらえることに成功している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
石井 あゆみ | 帝京科学大学 | 生命環境学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
秋葉 圭一郎 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)