19世紀「官話」の諸相-「周縁(ヨーロッパ・朝鮮・琉球・日本)」からのアプローチ
【研究分野】言語学
【研究キーワード】
周縁 / 官話 / 域外 / ヨーロッパ / 朝鮮 / 日本 / 近代漢語文献データーベース / 『19世紀中国語の諸相』 / 19世紀 / 近代文献データーベース / 琉球 / 唐話 / 訳語 / 近代語 / 宣教師 / ヨーロッパ人 / コーパス / データベース
【研究成果の概要】
ものごとは、「中心」だけを見ていてはかえってその本質がつかみににくく、むしろ、「周縁」からこそ「中心」なるものの本質が見えてくるということがよくあることである。まさに「灯台もと暗し」(「傍観者清」)であるが、本研究は19世紀の諸相を、そのような「周縁からのアプローチ」という手法でもってとらえ直し、その実態に迫ろうとする試みである。この場合、「周縁」とは、地域を主眼としているが、研究領域・分野における「周縁」ということも当然含まれている。従って、本研究での地域としては、中国域外として、ヨーロッパ・朝鮮・琉球・日本を、研究領域・分野としては、語彙・文法・音韻・方言・中国個別言語学・一般言語学を含んだものとなっている。この2年間に各研究者はお互いにそれぞれの地域と分野を意識し合い、統合を目指して意欲的に研究に取り組み、業績一覧に示すような研究成果を世に問うてきたが、とりわけ欧米人の漢語研究、琉球官話の特徴、近代語彙の形成と発展、唐話の実態を明らかにした『19世紀中国語の諸相一周縁資料(欧米・日本・琉球・朝鮮)からのアプローチ』(2007年、雄松堂出版)は学界からも一定程度の評価を得ることができた。また、本研究においては、各人の研究成果のみならず、広く斯界の研究の便を計るべく、「近代漢語文献データベース」の構築を目指してきたが、これも現在までに約40種の近代漢語文献の全文検索、全語彙検索等が可能になっており、WEB上で公開中である。この中には、世界でおそらく初めてとなる『語言自遍集』の初版・第二版・第三版全ての版本の閲覧・検索が可能になるものも含まれており、今後、世界中の研究者の研究に寄与することが期待されるものである。なお、本データベースは今後も拡充させていく予定である。
【研究代表者】