イモリ型の臓器再生を可能にする体細胞リプログラミング因子の解明と医学への展開
【研究キーワード】
再生 / アカハライモリ / リプログラミング / 瘢痕 / 創傷治癒 / 線維化 / 脱分化
【研究成果の概要】
本研究の目的は、「ヒトの体細胞にイモリ型のリプログラミングを惹起する因子の解明に挑む」とともに「イモリの利用を医学の様々な分野に浸透させる」ことにより、イモリ型の臓器再生に向けた現実的な工程表を完成させることである。そのために、1)成体マウス肢切断-瘢痕治癒過程を記述し、成体イモリの肢再生過程と対応付けた。一方、骨格筋追跡マウスの妊孕性が極めて低く系統を維持することが困難であったため、新たなマウス系統を作製する方向に転換した。この系統を用いて、骨格筋線維が瘢痕治癒過程に関わるか調査する。2)成体マウス網膜剥離-増殖膜形成過程の解析を進めるとともに、RPE細胞追跡マウスの評価・生産・飼育を継続した。現在、RPE細胞の動態を解析している。3)骨格筋追跡イモリを用いて、骨格筋線維が幼生期にすでに脱分化能力をもつこと、しかしその能力は生体内では抑制されており、脱分化能力の解放には変態と体の成長の組み合わせが必要であることを明らかにした(査読中)。一方、RPE細胞追跡イモリの解析により、RPE細胞のリプログラミングは変態直後に見られることが判った。これらの結果から、脱分化・リプログラミングに対するゲノム・エピゲノムおよび細胞外環境の重要性が明らかになった。4)哺乳類とイモリの双方において、骨格筋線維とRPE細胞の脱分化/リプログラミングを培養下で再現する条件及び候補因子の探索を進めた。イモリの骨格筋線維において、脱分化と再分化を再現し、しかも哺乳類と互換性のある培養条件を見出した。RPE細胞についても評価中である。血液を含むイモリの体組織由来成分の評価を進めた。5.アカハライモリのオミックスデータベースの利用を進めた。6.イモリの医学分野への導入を推進した。皮膚と顎、肢(リンパ)の再生について、イモリとヒトの比較研究を支援した。皮膚再生の研究成果を国際誌(査読付)で発表した。
【研究代表者】