RNA修飾酵素とその基質RNA認識機構の分子進化
【研究分野】極限環境生物学
【研究キーワード】
核酸 / 酵素 / 生体分子 / ゲノム / 進化 / RNA修飾 / 好熱菌 / tRNA / RNAメチル化酵素
【研究成果の概要】
本研究により、明らかとなった学術的知見は多岐にわたりますが、当初予定した三つの主要課題に照らし合わせつつ、記述すると下記のようになります。
(1)高温環境下の試験管内で、きちんと動作するRNA修飾系を組み立てる。
RNA修飾系において、RNAの構造安定化因子は(i)修飾ヌクレオシド自身(ii)RNA結合タンパク質(iii)ポリアミン(iv)塩類の4つであると思われます。細胞内における塩類濃度・組成は、ほぼ一定と予想されますので、in vitro実験系で重要な因子は、(i)〜(iii)であると思われます。
そこで、とくにポリアミンに焦点を絞り、高度好熱菌Thermus thermophilusの生産する特異的ポリアミン、カルドヘキサミンやテトラキスアミンが高温環境下でのRNA修飾に有効に作用することを見いだしました。
(2)RNAメチル化酵素の基質認識機構を生化学的に調べる。
超好熱菌Aquifex aeolicusのtRNA(m^1G37)メチル化酵素[TrmD]やtRNA(m^2_2G26)メチル化酵素[Trm1]が全く新規なRNA認識機構をもつ酵素であることや、真核生物のtRNA(m^7G46)メチル化酵素[Trm8/Trm82複合体]が真正細菌由来酵素に比較して、より厳密なRNA認識機構をもつことを見いだしました。
(3)RNAメチル化酵素の基質RNA認識がどのようなタンパク質構造によってもたらされるかを明らかにする。
TrmHに関して、保存されている塩基性アミノ酸残基に着目し、そこに変異を導入することにより、tRNAの初期結合に関する部位と触媒反応の進行に伴ってtRNAと会合する部位を明らかにすることができました。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高井 和幸 | 愛媛大学 | 無細胞生命科学工学研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
濡木 理 | 東京工業大学 | 生命理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)