LC-MS/MSを用いた大腸癌特異的新規リン脂質性メディエーターの探索と機能解明
【研究キーワード】
大腸癌 / リゾリン脂質 / リゾホスファチジルイノシトール / GPR55 / DDHD1 / リン脂質性メディエーター / 質量分析法
【研究成果の概要】
本研究では、タンデム型質量分析法 (LC-MS/MS)によるリン脂質解析法を大腸癌手術検体に応用した。その結果、進行大腸癌において、1-acyl LPI (18:0)、2-acyl LPG (18:1)、1-acyl LPS (18:0)が著明に増加していることが明らかになった。
また、これらの中で最も変化の大きかったLPIに注目し、LPIの受容体であるGPR55とLPIに特異的な産生酵素であるDDHD1の発現と、大腸癌の臨床病理学的因子の解析を行った。その結果、GPR55は多くの大腸癌検体で高発現することが明らかとなった。またDDHD1の発現が大腸癌の深達度と相関することが明らかになった。
【研究の社会的意義】
本研究では、細胞間シグナル伝達に関与するリゾリン脂質に注目し、大腸癌で変化するリゾリン脂質を明らかにすることを目的とし、タンデム型質量分析法により大腸癌手術検体を解析に、大腸癌で増加するリゾリン脂質分子種を明らかにした。さらに、大腸癌で変化したリゾリン脂質の産生酵素としてシグナル伝達に関与する分子DDHD1が腫瘍の深達度に関与することが示され、治療のターゲットとなる可能性が考えられた。
【研究代表者】