細胞分化の運命付けに関わる細胞外来性シグナルと細胞内在性プログラムの相互作用解明
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
神経幹細胞 / 造血幹細胞 / シグナル伝達 / 細胞増殖 / 細胞分化 / Wnt / AGM領域 / サイトカイン / HIPK2 / 転写因子 / ニューロン / アストロサイト / オリゴデンドロサイト
【研究成果の概要】
(1)アストロサイト分化誘導性のサイトカインBMP群のアンタゴニストnoggin分子を神経系前駆細胞に発現ベクターを用いて恒常的に発現させて脊髄損傷マウスに移植することで、移植細胞由来ニューロン分化誘導と、運動機能の改善が見られた。
(2)オリゴデンドロサイトの分化に重要な転写因子Olig2の胎生期終脳における発現は腹側のganglionic eminence(GE)に限定される。本研究で、背側(cortex)神経上皮をbFGFで培養すると、背側マーカー蛋白の発現が消失する一方でOlig等いくつかの腹側マーカー蛋白の発現が誘導されること、およびGE神経上皮と同様にオリゴデンドロサイト分化能を獲得することを見出した。
(3)正常組織細胞をHoechst33342で染色しフローサイトメトリーで蛍光強度を2種類の波長で二次元展開することにより大部分の細胞が属する主集団よりも蛍光強度の低い細胞群(side population, SP)として同定できる分画に組織特異的幹細胞が多く含まれていることが報告されている。本研究により、C6グリオーマのSP細胞が、神経幹細胞と同様に自己複製能と多分化能を併せ持つことを示した。
(4)神経幹細胞がbFGFシグナルとWntシグナルのクロストークによって増殖することや、両サイトカインのクロストークにより発現するcyclin D1が神経幹細胞のアストロサイト分化抑制作用を持つことが分かった。
(5)大動脈-生殖原基-中腎(AGM)領域で起こる胎生期造血をin vitroで再現する分散培養では血管内皮様の細胞から血球マーカーCD45陽性の細胞を輩出させることが可能である。それらの細胞のうちCD45^<low>c-Kit^+細胞がコロニー形成能を持つ造血前駆細胞であることが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鹿川 哲史 | 熊本大学 | 発生医学研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
信久 幾夫 | 熊本大学 | 発生医学研究センター | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】15,600千円 (直接経費: 15,600千円)