世代交代に際してゲノム継承を可能にするための分子基盤
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
細胞周期 / シダナル伝達 / 卵減数分裂周期 / 卵成熟誘起ホルモン / 受精 / 前核 / ゲノム継承 / シグナル伝達 / DNA複製装置 / 発生・分化 / 核構築 / 卵成熟
【研究成果の概要】
世代交代に際してゲノム継承を実現していく分子機構を解明するために、卵細胞における細胞周期制御に至るシグナル伝達と核構築制御を解析した。
1.[卵減数分裂の再開始]ヒトデ卵成熟誘起ホルモン(1-MeAde)の卵表受容体の単離同定をめざした。1-MeAde誘導体を結合させたアフィニティー・フェライトビーズに特異的に結合するタンパク質を、卵膜の可溶化画分から3種(p42、p92、p97)得た。これらは、抗体等を用いた解析から、受容体を構成している可能性が高い。
ヒトデ卵減数分裂周期について、Auroraを解析した。ヒトデAuroraはCdc2の下流で活性化し、一タイプしか存在しないが、脊椎動物で見られる複数タイプの機能を担うことをHeLa細胞を用いて示した。
2.[卵減数第二分裂中期の停止と解除]アフリカツメガエル卵は、減数第二分裂中期に停止して受精を待つ。この停止では、Mos-MAPK経路の直下にあるp90Rskが、Erp1を直接リン酸化して安定化させるとともにそのAPC/C抑制活性を亢進させ、それによってサイクリンBのタンパク分解を阻止していることが判明した。一方、この停止の解除には、従来報告されていたCaMKIIだけでなく、同時にカルシニュリン(CaN)も一過性に活性化する必要のあることを示した。
3.[核構築]アフリカツメガエル未成熟卵では、importin αに依存した核輸送が抑制されており、これはimportin αがannulate lamellaeにトラップされているためであることが判明した。このimportin αのトラップは卵成熟開始とともに解除され、それと、卵成熟による前核形成能の獲得との関連が考えられる。受精後の雌雄両前核の接近と融合については、ヒトデ卵を用いて、細胞周期の進行は必要でないことを示した。
【研究代表者】