Rhoキナーゼの自己阻害機構の構造的基盤
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
Rhoキナーゼ / Rhoシグナリング / 自己阻害 / X線結晶構造解析 / 立体構造 / ERMタンパク質 / Merlin / FERMドメイン / Rho-キナーゼ / コイルドコイル / DHドメイン / Rho
【研究成果の概要】
マウス由来のRhoキナーゼのキナーゼドメイン(一部コイルドコイル領域を含む)はSf9細胞を利用したバキュロウイルスの発現系によりタンパクを発現させ、精製した。その結果、純度の高い(95%以上)数mg程度の結晶化可能量を取得することに成功した。一般的に溶液が単分散系であれば結晶化する確率が高いことが知られているのでX線小角散乱法により溶液の分散状態を調べた。その結果、Rhoキナーゼの溶液は単分散系でありさらに四量体をとっていることが示された。この分子量の結果はゲルろ過により推定される結果と一致した。またマススペクトル、ペプチドシークエンサーにより予定通りの蛋白質を得ていることを確認した。この試料を幅広いpH、様々な沈殿剤・塩を含んだ結晶化スクリーン試薬を用いて結晶化条件を検討したが現在までのところ結晶は得られていない。現在のコンストラクトは前述のようにキナーゼドメインに加えコイルドコイルドメインがあるので、コイルドコイル領域を短くする、削るなどした別のコンストラクトの調整が必要であると思われる。
一方Rhoシグナリングと深く関わるERMタンパク質については、ICAM-2由来の細胞内領域のペプチドとの複合体構造の解析に成功した。さらにペプチド側のアミノ酸を変えることによる結合定数の変化を定量的に測定するためビアコアを用いた実験を行い、立体構造解析によって判明した種々の相互作用と様々な変異体実験がよく合致することを証明し立体構造の観点から認識機構を考察した。
またERMタンパク質と同様FERMドメインをもつがん抑制遺伝子産物Merlinの構造を決定し、臨床的に蓄積されていた様々な変異に関して立体構造の観点からどうして変異により機能を損失するのかを考察した。
さらにRho-RhoGDI複合体からRhoを解離させる作用がERMタンパク質に知られているが我々はRhoGDIとERMタンパク質との複合体の結晶化にも成功している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
箱嶋 敏雄 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 情報科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)