蛋白質エンジニアリングにおけるローカルフラクチュエーションの解明とその制御
【研究キーワード】
蛋白質エンジニアリング / ダイナミクス / 抗体
【研究成果の概要】
本研究では、変異導入、柔軟性変化、小型化、コンジュゲーションにおける蛋白質エンジニアリングに伴うローカルなフラクチュエーション変化が、コンホメーショナルアンサンブルの多様性を増大させ、その結果、新しい相互作用界面の出現、分子認識の多様性を生み出すのではないかと考え、標的蛋白質の分子認識に関するフラクチュエーションの物理化学的パラメータ(ΔH, ΔS, ΔG, kon, koffなど)を解析し、動力学計算と共に相互作用に関する精密な議論を行うことにより、標的とする蛋白質の機能性向上、分子認識変化、反応場適合を考察、ローカルフラクチュエーションという独自の観点からの分子設計並びに実験的検証を通じて、新規な分子デザインの指針を提案する。
本年度の成果としては、(Project A) 金属イオンの有無で、結合親和性と共に速度論パラメータも変化することが明らかとなり、ALaスキャンより結合親和性創出に重要なアミノ酸の種類が、金属イオンの有無により異なることが示唆された。(Project B) 切り出しただけのフラグメントペプチドでは抗原に対する結合活性はなかったが、N末端とC末端を連結することにより環状型のペプチドを作製し結合解析を行ったところ、結合活性を示すものと、示さないものがあることが明らかになった。(Project C) 抗体の種類によってFcγRIIIaに対する結合活性、その速度論パラメータが有意に異なることが示された。
(Project D) 溶液中では抗体間で差異がなかった結合親和性および物理化学的なパラメータが、固定化系では結合親和性と共に速度論パラメータにも有意な差異があることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長門石 曉 | 東京大学 | 医科学研究所 | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
黒田 大祐 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
中木戸 誠 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)