孤立空孔と蓋状アタッチメント触媒の協同作用による精密有機合成
【研究キーワード】
自己組織化 / 分子認識 / イオン認識 / ランタノイド / ホストゲスト / 有機反応 / ホスト-ゲスト / 触媒反応 / 立体選択的反応
【研究成果の概要】
中空錯体と協同して働く蓋状アニオンを、運動性や機能の観点から改めて設計した。その結果、中空錯体と更に強固に結合する蓋状アニオンや、金属イオンを認識し中空錯体の開口部に配置できる蓋状アニオンの開発に成功した。これまでの最も簡易的なベンゼン環を主骨格とする三脚型アニオンに対し、ベンゼン環上に3つメチル基を導入すると、中空錯体の開口部により強く結合し、また条件に応じて中空錯体内部にも位置し追加の分子認識部位を与えられる蓋状アニオンとなった。この蓋状アニオンと中空錯体を組み合わせると、それらの協働効果により、化学的性質やイオン半径が似通った希土類イオンの選択的認識・分離が可能になった。この選択的認識を活かした前期ランタノイドの選択的分離手法も確立した。
更に、これまでの三脚アニオンから分子設計を大きく変え、トリフェニルホスフィンオキシドを主骨格とする三脚アニオンを設計・合成した。この蓋状アニオンは中心にルイス塩基部位を持ち、アンモニウムや有機ルイス酸、金属イオンと相互作用できる。中空錯体と組み合わせることで、開口部に金属イオンを導入し、空孔内部の基質と特異的な相互作用をできる系を見出した。金属酵素様の反応場を完全な人工系で構築できたと言える。
また、蓋状アニオンの検討と並行して中空錯体の開口部を活かした反応の探索も行い、芳香族アルキンの求電子的ハロゲン化剤を用いた特異な選択性の環化反応を見出すに至った。中空錯体への包接による配座制御が新奇反応を見出す上で強力な手法となることを示した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)