酸化的芳香族-アルケンカップリングの開発と展開
【研究キーワード】
フェノール / アルケン / 酸化 / 炭素ー炭素結合形成 / 環化 / 芳香族 / 結合形成
【研究成果の概要】
フェノールのメタ位にアルケニル側鎖を有する骨格において、フェノールに種々の置換基を持つ基質、側鎖にヘテロ原子を有する基質、側鎖の炭素鎖長が異なる基質、二、三、四置換アルケンを有する基質を検討し、これらの基質において良好な収率で酸化的分子内フェノールーアルケンカップリングが進行し、目的物を与えることを明らかにした。開発した本反応の有用性を立証するため、リポキシゲナーゼ阻害活性を有する天然物テトラペタロンAの右半分の六員環-五員環フラグメントの骨格形成反応に本反応を利用する全合成に展開した。臭素をフェノールの置換基に、ヒドロキシ基を側鎖の置換基に有し、不斉炭素を有する基質において、望みの酸化的環化反応が位置選択的かつ立体選択的に進行し、目的物が良好な収率で得られた。左半分の五員環ラクタム構造を持つフラグメントの合成も進め、右フラグメントとの銅触媒を用いたカップリングを検討している段階である。
フェノールのメタ位にアルケニル側鎖を有する基質に加え、パラ位にアルケニル側鎖を有する骨格において、酸化的分子内フェノールーアルケンカップリングによるスピロ骨格の形成を検討した。目的の反応が進行し、スピロ骨格を有する化合物が得られると共に、さらにスピロ骨格が1,2-転位が進行した化合物が得られた。これらの反応が確立できれば、スピロ骨格を有する化合物のみならず、種々の二環性骨格の化合物の合成に有用であり、現在これらの反応の検討を進めている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)