微小重力環境を利用した幹細胞の三次元培養系の確立
【研究分野】外科学一般
【研究キーワード】
幹細胞 / 再生 / 三次元培養 / 高次組織 / 微小重力
【研究成果の概要】
本研究では、多分化能と自己複製能を有する幹細胞の微小重力環境における三次元培養系を確立することにより、幹細胞から分化する複数の細胞群の「組織化」のメカニズムを解明するとともに、長期間にわたり高次機能を発揮可能な「組織」を再構築する新規培養技術を開発することを試みた。すなわち、組織幹細胞等の細胞を米国航空宇宙局(NASA)とシンセコン社が共同開発した微小重力環境に類似した培養条件(無対流・無ズリ力)を設定可能な回転培養装置(Rotating Wall Vessel Bioreactor : RWV)を用いて、幹細胞の分化や増殖をサポートする支持細胞との三次元共培養を試みた。マウス胎児肝臓から単離した細胞群を対象として、機能的な肝小葉構築を再現可能な三次元培養系の検証を行った結果、5x10^6個の胎児肝細胞をRWVを用いて5-10日間の三次元培養を行ったところ、胆管構造・血管構築などの高次組織構造を人為的に再構成できることが判明した。これらの再構成された胆管構造や血管構造には基底膜構造が適切に再構築されており、分岐管状構造も再現されていた。成熟肝細胞機能に関与する遺伝子発現レベルは、二次元培養系(ディッシュ培養)と比較して概して良好であった。肝細胞機能として重要なアンモニア分泌能やアンモニア代謝能も有していることが判明し、三次元的組織構造が細胞分化を支持することが示唆された。今後、より機能の高い高次組織構造を創出可能な三次元培養系の開発を行う必要がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
郭 淑霞 | 横浜市立大学 | 医学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)