超高分子量バイオポリマーを用いた高強度かつ高ゴム弾性を有する生体吸収性繊維の開発
【研究キーワード】
生体吸収性繊維 / 生分解性プラスチック / 微生物産生ポリエステル / 伸縮性繊維 / ポーラス繊維 / 大型放射光解析 / 生分解性繊維 / 高強度繊維 / 高弾性繊維 / 環境分解性 / 生体吸収性 / フィルム / 延伸 / 広角X線回折 / 小角X線散乱 / SPring-8 / 分子鎖構造 / 結晶配向 / 高ゴム弾性繊維
【研究成果の概要】
現在、再生産可能資源であるバイオマスを出発原料としたバイオマスプラスチックから生体吸収性などの優れた性能を有している材料の開発が望まれている。本研究では、糖や植物油から微生物が生合成する微生物産生ポリエステルから、生体吸収性を有し、強度と伸縮性に優れ、手術用縫合糸などにも利用可能な高性能な生体吸収性繊維の開発に成功した。従来の融点以上での溶融紡糸法ではなく、新たな溶融紡糸法を開発することにより、強度と伸縮性を兼ね備えた繊維を再現性良く作成することができた。さらに、繊維内部にポアが形成されたポーラス繊維の開発にも成功し、従来の手術用縫合糸と比べ、結紮サイズが小さくなることも明らかにした。
【研究の社会的意義】
本研究では、生分解性を有するバイオマスプラスチックである微生物産生ポリエステルから従来にない優れた性能を有する生体吸収性繊維の開発に成功した。この結果は、石油合成プラスチック以上の性能を生分解性バイオマスプラスチックからも出せることを実証したものであり、生産コスト面では劣る生分解性バイオマスプラスチックの開発研究に大きな前進をもたらすものと期待できる。また、今回開発に成功した繊維は、東京湾の海水でも完全に分解されることから、海洋マイクロプラスチック問題の解決の一助ともなりえる。本研究の成功は、医療分野においてのみならず、地球環境分野にも大きな成果であると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2018-06-29 - 2021-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)