ヘアピンフォールドの生成・消滅による主鎖型液晶エラストマーの異常な大変形伸縮挙動
【研究分野】高分子・繊維材料
【研究キーワード】
主鎖型液晶性高分子 / 液晶エラストマー / エラストマー / 架橋 / 折りたたみ鎖 / スメクチック液晶エラストマー / ネマチック液晶エラストマー
【研究成果の概要】
モノドメイン・ネマチック相のフリースタンディング配向試料を用い,配向軸に平行な方向でサイズの温度変化を観測した.その結果,昇温・降温降に伴って配向方向に50%可逆に伸縮する.体積の温度依存性は無視できるので,このサイズの増大が配向軸に垂直方向の断面積の現象を伴っていること,つまり断面を貫通する分子鎖の数が大きく変化することを示している.断面積の温度依存性がヘアピン・フォールド数の温度依存性を反映するものとし,具体的なモデルを提案した.ネマチック温度で配向軸方向の応力-ひずみの関係を調べ折りたたみ鎖の引き延ばしが起こっていることを示唆する結果を得た.光反応性部位を導入した主鎖型液晶高分子を設計合成し,モノドメイン状態での架橋に成功した.このエラストマーはスメクチックCA相を形成する.等方相に昇温すると配向方向に40%収縮するが,液晶状態に降温すると長さは5%しか回復しない.そのときの液晶は自発的に配向しているが,液晶種はスメクチックAであった.このスメクチックA液晶を配向軸方向に延伸すると,応力平坦域でスメクチックCA液晶に転移することを応カ-ひずみ曲線・X線回折同時測定で確認した.スメクチックエラストマーはネマチックエラストマーと異なり,ダイレクター方向に位置の秩序が存在し,層としての性質を持つ。そのため分子がダイレクター方向にその相対的位置を自由に変えられないこと,折りたたみ部分を特定の部位に収容し,結晶とよく似た折りたたみ鎖ラメラ構造を形成するなどの特徴を持つことから,延伸前のスメクチックA液晶は,折りたたみ鎖によって構成されていると考えた.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
川内 進 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
戸木田 雅利 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)