光電子分光による液体表面分子の構造解析
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
光電子分光 / 液体分子線 / 多光子イオン化 / 液体表面 / 電子状態
【研究成果の概要】
液体分子線を用いることによって、液体表面付近の分子の溶媒和構造や液体表面で進行する化学反応を追求することができる。反応機構をさらに解明するためには、液体表面分子の構造や電子状態を微視的レベル明らかにすることが必要となる。本研究では、光電子分光法を用いて、液体表面付近の分子の配向、電子状態などを明らかにすることを目的とした。液体分子線に対して紫外レザー光を照射すると、液体分子線中の分子がイオン化され、電子が放出される。主に、液体表面付近から電子は気相中に放出されることから、この電子のエネルギーを飛行時間型のエネルギー分析器を用いて測定することで、液体表面付近の分子の電子状態に関する知見を得ことができる。本研究では、光電子分光装置の開発と試行実験を行った。
実験装置は、液体分子線部と光電子エネルギー分析器からなる。液体分子線として、真空中に導入された液体は、液体窒素で冷却したクライオポンプですぐに捕捉することによって、真空容器中の圧力は10^<-6>Torr程度に抑えることができた。光照射によって生成した光電子を、ミュウメタルによって磁場を遮蔽された、飛行時間型エネルギー分析器によって検出した。
具体的には、272nmのレーザー光をアニソールのエタノール溶液に照射し、多光子イオン化によって放出される電子の、光電子スペクトルを得た。スペクトルは、幅の広いピークにの上に幅の狭い構造を持ったピークが重畳されたような構造を持っている。現在これらのピークがどのような電子構造に由来するのかを検討中である。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1995
【配分額】1,200千円 (直接経費: 1,200千円)