星と隕石の組成解読を基軸としたr過程元素の起源・進化の解明
【研究キーワード】
r過程元素 / 中性子星合体 / 超新星(強磁場超新星、コラプサー) / 隕石 / 矮小銀河 / 超新星(強磁場超新星、コラプサー) / 重力崩壊型超新星 / ブラックホール / 隕石同位体分析 / radial migration / 球状星団 / 同位体分析 / 強磁場超新星 / 銀河化学力学進化 / 同位体異常
【研究成果の概要】
星の化学組成解読によるr過程元素解明については、以下の2つの業績を論文として残した。(1). 太陽でのr過程元素の含有量は、太陽近傍星での平均的な値と比べおよそ20-30%程度少ないことを観測的に指摘し、この原因について、太陽系が現在の場所ではなく銀河中心近く(バルジの外側付近)で生まれ、その場所でのバースト的な星形成に付随した化学進化を反映した結果であることを明らかにした。(2). 太陽と化学的物理的特徴が類似した太陽双子星の組成解読の分析結果を化学進化の理論モデルと融合させることから、r過程元素起源天体の同定に成功した。これは太陽双子星の年齢からその星が生まれた場所を同定でき、かつその場所での化学進化を理論的に予測することができるという独自の発想から生まれた手法に基づいたもので、これよりr過程元素の起源天体はこの宇宙に2種類、つまり長寿命の中性子星合体と短寿命の超新星爆発、が存在しなくてはいけないことを明らかにした。また、両者によるr過程元素への貢献度はほぼ同程度であることも突き止め、超新星のr過程への重要性を強調した。
また、分担者横山氏と共にr過程を含む元素合成に関する最新の情報を含む総説を執筆し、Encyclopedia of Geology 2nd editionに公表した。さらに横山氏は、隕石の核合成起源同位体異常を高精度測定するため、単一隕石試料からr過程元素を含む20種類の元素を同時に化学分離する手法を立ち上げるとともに、表面電離型質量分析計(TIMS)を用いて隕石のCr同位体比を超高精度・高確度で測定する新しい手法を開発した。これらの手法を炭素質コンドライトに適用し、隕石のTiおよびCr同位体比の測定結果を地球試料と比較することから、炭素質コンドライトが中性子過剰の環境で形成される50Tiおよび54Crに富むということを確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
横山 哲也 | 東京工業大学 | 理学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)