位置分解能を有する高感度半導体光検出器の開発
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
半導体光検出器 / アバランシェ光ダイオード / APDリニアアレイ / MOS / ピクセル検出器 / 光電子増倍管 / CCD / セグメント化APD / APD / ピクセル / アバランシェフォトダイオード
【研究成果の概要】
平成5、6年度にわたり、位置情報を有する光検出器の検討を進めてきた。シングルフォトンレベルの微弱光を念頭に置いての開発であるため、既存の確立した技術、例えばCCDなどをこの検出器として使うことは出来ない。検出器は、CCD等とは異なり、それ自体に、何らかの内部増幅の機構をもつ必要がある。光電子増倍管の受光面を分割化する試み(いわゆるマルチアノード)等も一つの候補になりうるが、本研究で狙うような位置精度(1mm程度以下)を実現していくのは、本質的な困難があると思われる。この為本研究では、半導体光検出器の技術を用いて、高精度化を図ると同時に、検出器本体に増幅の機構を内蔵する検出器を開発するための、諸問題を検討してきた。本研究では、増幅機構をもたせるために、二つのアプローチを採用した。
1)半導体内に於けるアバランシェ増幅の利用:現在、諸分野で開発が進んでいる、内部増幅をもつアバランシェ光ダイオード(APD)をセグメント化し、位置情報もとりだす試みを行った。各種のマスクパターンを作り、実際にシリコンウェーファー上に、100ミクロンのピッチをもつAPDリニアアレイなどを形成し、テストを行った。単一のセルにおいては、20倍程度の増幅率をもつものが得られた。
2)MOSピクセル検出器:独立の光ダイオードとなっているピクセルの出力段に、pMOSトランジスターを形成して、増幅を狙うものである。幾つかのテストストラクチャーが試作され、光信号検出能、及び増幅機能などが確かめられた。
限られた予算と期間のため、最終目標を満たすデバイスを開発するまでには、至らなかったが、本研究で目指した上記二つのアプローチが極めて有望であることがわかった。
【研究代表者】