不可逆過程計測のための高感度シングルショットテラヘルツ時間波形計測
【研究キーワード】
シングルショット / レーザーアブレーション / 深層学習 / テラヘルツ / 時間領域分光 / 不可逆現象
【研究成果の概要】
レーザー加工現象は関与する物理過程の多階層性と非線形性を反映して、不可逆かつカオス的に振る舞うため、シングルショット観測を通した現象の理解が重要である。とくに強い超短パルスレーザーを物質に照射すると、瞬間的な電子励起により系全体への熱緩和が起こるまえに物質が除去されるレーザーアブレーションと呼ばれる現象が起こるが、表面形状由来する吸収やエネルギー散逸の非線形性を反映して、多パルス照射下におけるシングルショット過程の理解はなされていなかった。本年度はレーザーアブレーションの際に飛散する粒子数の表面形状依存性を明らかにするため、レーザーパルス照射前後の加工痕の詳細測定を行い、シングルショットのレーザー照射が引き起こす表面形状変化の定量化に成功した。具体的には、レーザーアブレーションに伴う表面形状変化とレーザー照射直前の3次元形状データを大量に収集し、深層ニューラルネットワークを用いて表面形状変化の差分方程式を構築し、この差分方程式化が実際の加工現象を定量的に再現することを様々な材料やパルスエネルギー、照射パターンに対して確認した。本成果は、大規模な事前・事後のデータの組を実験的に測定し深層ニューラルネットワークを用いて定量化することで、カオス的に振る舞う不可逆現象を差分方程式化し、予言性を持たせることができることを示したものであり、レーザー微細加工のシミュレーターの構築などの産業応用にも資する成果である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)