地球史における炭酸塩の堆積・溶解過程と環境変動
【研究分野】地質学
【研究キーワード】
炭酸塩岩 / 同位体組成 / 海水準変動 / 化学風化 / サンゴ礁 / ストロンチウム同位体組成 / 微量元素 / カルスト / 石灰洞 / 生物礁 / 酸素同位体組成 / トロマイト / 大気二酸化炭素
【研究成果の概要】
1.研究活動
数多くの研究会、セミナーを開催し、活発な議論と研究成果の交換がおこなわれた。研究会での講演は総研の報告書、あるいは、講演要旨集として印刷公表された。文献情報の収集にも力をいれ、これまでに、炭酸塩関係の内外の文献を約18000件収集した。
2.研究成果
特筆すべき成果は、以下のようなものである。
・イラン北部の上部先カンブリア系〜下部カンブリア系において、炭酸塩の炭素同位体組成が始め著しい負の異常を、次に比較的安定した正の異常を示すことが明らかとなった。これは先カンブリア時/カンブリア紀境界において、海洋水が急激に有機物起源の炭酸に富み、引き続いて生物生産性が高くなった事を示唆する。
・ストロンチウム同位体層序の手法を摘要する事により,中新統リ-フ石炭岩体(女神石灰岩)でドロマイトが生成した時代は、海水準の低下期に当たる事が明らかにされ、ドロマイト化作用の混合水モデルがここでも当てはまる事が分かった。
・オ-イドの成因については、これまで無機的沈殿化、生物源かで議論があったが、電子顕微鏡による微細構造の観察から、これらが、バクテリアの光合成と共役した炭酸カルシウムの沈殿である事が示された。
3.研究の波及効果
地質学、生物学、地球化学などの多分野の研究者が、「共通認識の元に共同研究、討議を行った事により、それぞれの研究課題、発想の幅がひろがり、本格的な共同研究がいくつもスタートした。この総合研究により、生体鉱物化作用における生物効果、非平衡的沈殿の問題など、地質学で見落とされていた問題も掘り起こされ、次のより発展した形の総合研究への手がかりが出来た。
【研究代表者】