生命の生存限界を探る:海底下高温高圧環境での活動的生命圏の限界と生き残り戦略
【研究キーワード】
海底下生命圏 / 生命生息限界 / 極限環境 / 生命存続限界
【研究成果の概要】
本研究では、生命の存続に必須の「栄養供給」と均衡する生命活動を明らかにするため、海底下地層環境を題材として、そこで連続的、経時的に変化する温度・圧力条件と生命およびその存続について観察することを目的としている。この観察により、地球内部での生命圏限界、または限界をもたらす物理化学的、生理学的因子を解明し、さらに限界生命圏の姿、生命の適応メカニズム、進化学的な議論を展開することを期待している。
本課題では、昨年度までは国際深海科学掘削計画(IODP)におけるグアイマス海盆掘削航海において、高温の熱水が循環し、有機物の現場分解による炭化水素の供給も活発な生命圏から得られた試料において、高感度の生命検出などの第一次分析、および地層試料を現場温度・圧力等、様々な条件で培養する高温高圧培養装置において純粋菌株を用いた培養を実施していた。メタン菌や硫酸還元菌など、高温高圧環境から取得された培養株を用いた試験を実施、常圧環境での培養との挙動の違いなどについての解析を実施したところ、高圧をかけると常圧で実施したこれまでの取得データと異なる培養特性を示した。これはその後の掘削試料を用いた培養の成否に関わる重要なポイントと判断し、研究期間を延長して純粋菌株での高温高圧検証実験を繰り返し、細胞の増殖を確認した。その後、掘削試料を用いた高温高圧実験を延長した研究期間から開始した。延長期間ではまず高温高圧環境下で非生物的に起こる反応の検証を目指し、滅菌済みの試料から炭化水素が遊離してくる様子が観察された。
【研究代表者】