並列計算による地球惑星流体核内部MHD乱流拡散機構のモデル化
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
MHD乱流 / 地球惑星流体核 / 乱流拡散 / 並列計算 / サブグリッド・スケール / スケール相似則
【研究成果の概要】
本研究の目的は,地球惑星流体核の渦拡散率を見積もり,モデル化するために,MHD乱流の直接数値計算を実施し,その計算結果を利用して渦拡散テンソルをモデル化することである.現実の流体核の分子拡散率に対応するような数値計算を実施するためには,非常に小規模な場に対する解像度が要求される.本研究では,計算領域を分割し,大容量メモリを持つ高速並列計算システムの各CPUに分割された領域を割り当てることによって並列計算を実施した.このようにして得られたMHD乱流の直接数値計算結果を用いて,サブグリッド・スケール(SGS)における物理過程をモデル化するために,回転系のMHD乱流においてスケール相似則が成り立つかどうかを調べた.そしてスケール相似則を利用できるという結果を得た.スケール相似則および空間フィルタ幅依存性に基づいて,SGS成分のグリッド・スケール成分への影響を表す項の影響を推定する方法を求めた.MHD乱流のラージ・エディ・シミュレーションにその方法を取り入れ,直接数値計算(DNS)の結果と比較することにより,SGSモデルの妥当性を確かめた.時間的・空間的に平均された熱流束,運動エネルギー,そして磁気エネルギーは,SGSモデルを取り入れることにより,数値計算における空間解像度が低くてもDNSの結果に近づくことがわかった.ただし,速度場,磁場,温度のパワースペクトルには大きな違いは認められなかった.つまり,本研究のパラメータ範囲では,SGSモデルを含めるか否かに関係なく,空間構造の特徴は表現できていることがわかった.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)