地震発生帯の上限の謎に迫る
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
地震発生帯の上限 / 地震活動 / 超高密度地震観測 / 高密度地震観測 / 地震 / 高密度観測
【研究成果の概要】
地震発生帯の上限で起きている地震活動の詳細を調べるために,2016年熊本地震が発生した布田川断層帯を中心に超高密度な地震観測網を設置して約50日間の地震波形データを取得した。データを解析した結果,布田川断層帯の傾斜方向と整合的な北西方向に高角度で傾斜する震源分布が得られた。また,断層帯直下の深さ2 km以浅の地表付近において,顕著な地震活動は起きていないことも分かった。さらに,浅い地震のマグニチュードが深いものに比べて小さくなる特徴が見られ,摩擦特性の深さ方向の遷移を反映している可能性が考えられる。
【研究の社会的意義】
2016年熊本地震を引き起こした布田川断層帯の直上における観測により,地表地震断層から深さ約2 kmまで顕著な地震活動が起きていないこと,地表に近い地震ほど規模が相対的に小さくなることを示した。これらは,地震発生帯の上限付近において地表に向かって断層の摩擦特性が徐々に変化することを示唆する。一方で,熊本地震発生時のすべりは断層深部から地表まで到達しており,摩擦特性の変化はそれほど強いものではなく,勢いのある加速した動的破壊すべりが伝わってくる場合には,地震性すべりが起きることを意味する。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2021-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)