成層圏NOy及びNO同時測定装置の開発
【研究分野】超高層物理学
【研究キーワード】
総窒素酸化物 / 一酸化窒素 / NOy / NO / 気球観測 / コンバ-タ- / 化学蛍光法 / 気球測定 / 成層圏
【研究成果の概要】
成層圏の総窒素酸化物(NOy)と一酸化窒素(NO)の同時測定装置の開発を2年間にわたり実施した。このためまずNOyをNOに効率良く変換するためのコンバ-タ-の製作を行なった。このコンバ-タ-は300゚Cに加熱した金の表面上で、一酸化炭素(CO)を還元剤としてNOyをNOに変換するという原理に基づくものである。コンバ-タ-は内径5.7mm、厚さ0.15mm、長さ30cmの金管を19本束ねたユニットを内径30.5cm、長さ50cmのステンレス管に収納するという構造のものを製作した。このように断面積を大きく取ることにより、コンバ-タ-による圧力損失を最小限に押えることができた。また精密な温度制御装置によりコンバ-タ-温度を±1゚Cの精度で一定に保つことができた。試料大気をコンバ-タ-を通すか、あるいはバイパスするかでNOy又はNO測定と切り換えられるような空気左動弁を設計・製作した。NOyコンバ-タ-を化学蛍光法NO検出器と結合してNOy測定器を構成し、コンバ-タ-のテストを行なった。100から3mbの範囲でNO_2に対する変換効率は99%と一定であることが確かめられた。また数PPmVのオゾンの存在下でもこの変換効率は変化しないことも確められた。硝酸に対する変換効率は校正ガスの精度の点で10%の不確定性をもつが、この範囲では100±10%の変換効率をもつことを確かめた。組み上げた測定器は1990年1月にスウェ-デンの大型気球実験で使用され、初めて極域での高精度のNOyの測定に成功した。また1990年9月にはフランスでの気球実験により、NOyとNOの同時観測に世界で初めて成功した。このように実験室での開発と野外での気球実験において、本研究の目的は十分に達成できた。今後装置の小型・軽量化を行なうことにより更に多くの気球実験に用いることができるのであろう。
【研究代表者】
【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1989 - 1990
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
【研究分担者】 |
日下部 敏明 | 日本イー | エム・シー株式会社 | 技術部長 |
内山 康右 | 日本イー | エム・シー株式会社 | 開発室長 |
柴崎 和夫 | 国学院大学 | 文学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
岩田 晃 | 名古屋大学太陽地球環境研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
近藤 豊 | 名古屋大学太陽地球環境研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
UCHIYAMA K | Nippon EMC Co. Ltd., Head of Development |
KUSAKABE T | Nippon EMC Co. Ltd., Head of Engineering |
小池 真 | 名古屋大学 | 太陽地球環境研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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