3D-RISM理論を応用した解析的な揺らぎ計算手法の開発
【研究キーワード】
揺らぎ / 統計力学 / 3D-RISM理論 / 生物物理学 / 分子動力学シミュレーション / 統計力学理論 / 3D-RISM / 生物物理
【研究成果の概要】
2013年にKimとHirataらによって提案された溶液中における分子の揺らぎの特徴を予測可能な新しい理論の解を得るための計算手法を2種類開発し、実装した。そして、本手法をアラニンジペプチド、メチオニンエンケファリンの2種類の分子の揺らぎの解析へ応用した。2つの手法は1つの構造周囲の小さな揺らぎを再現するものと、長時間のシミュレーションに対応するような大きな揺らぎを解析するためのものである。得られた結果は通常の分子動力学シミュレーションを用いて得られた結果とよく一致することが示された。
【研究の社会的意義】
本研究は溶媒和自由エネルギーの2階微分という、これまで計算されてこなかった物理量の計算を初めて行った。また、分子の揺らぎという生物物理学の中心的な問題に取り組むための新しい手法を提案した点に大きな学術的意義がある。本理論の実装はまだ試験的なもので計算コストや計算精度に課題が残されているが、蛋白質のような生体高分子の揺らぎはその機能と直接的な関連があるため、本計算手法を発展させて行くことで創薬等への応用が期待される。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)