表面成長モードの原子ダイナミックスと表面電気伝導の発現機構の研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
反射高速電子回折 / 走査トンネル顕微鏡 / 表面電気伝導 / エピタクシー / 半導体表面 / 金属超薄膜
【研究成果の概要】
我々はSi上の金属のエピタクシー過程について、RHEED(反射高速電子回折)、TRAXS(全反射角X線分光)、表面電気伝導の測定等の方法で構造、組成、物性の研究を行ってきた。RHEEDは逆格子を通しての構造研究に有力であり、STM(走査型トンネル顕微鏡)は実格子の研究に有力である。そこで我々は既設のRHEED-TRAXS装置にSTMを結合させ、上記現象の解明を試みることを目的とした。
平成6年度にはSTM用の観測ヘッドを購入し、探針を試料表面に安全に近づける機構や走査機構の作製を行った。平成7年度にはSTM用の低圧電源、画像処理システム、探針走査回路等を購入し、STMの像が撮影出来るように完成させた。これを既設のRHEED-TRAXS用の超高真空装置と結合させた。また、真空を破ること無く、RHEEDで観察した試料をSTM装置内に移動させるための機構も作製し、RHEEDとSTMの同時観察が出来るような装置として完成させた。
この装置を用いてSi(111)表面上の7×7構造やInを蒸着したときに形成される表面構造の観察を行った。7×7構造の場合には、明瞭なRHEEDパターンを示す場合でも、これをSTMで観察すると、部分的には7×7構造の見えない部分が斑模様に存在する場合が多かった。これは冷却中に7×7構造の表面に残留ガスが部分的に吸着したためと思われる。7×7構造の表面にガスが吸着しても、7×7構造を破壊しなければRHEEDパターンは明瞭なままであるが、STMは表面に吸着したガスが検出され、表面に極めて敏感であることがわかる。次に、Si(111)表面にInを蒸着すると、1×1、4×1、√<31>×√<31>、√<3>×√<3>などの表面構造が形成されることをRHEEDで確認した。この表面をSTMで詳しく観察・解析し、各々の構造の原子配列構造模型を提唱した。またこれらの表面の電気伝導の測定も行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
霜越 文夫 (霜越 丈夫) | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
長谷川 修司 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】7,900千円 (直接経費: 7,900千円)