広エネルギー帯多成分宇宙プラズマの計測手法確立と相互作用解明を目指す発展的研究
【研究分野】超高層物理学
【研究キーワード】
宇宙プラズマ・粒子 / 磁気圏 / 直接観測 / エネルギー・質量分析 / 多成分プラズマ / 相互作用 / 広エネルギー帯域計測 / ジオスペース / 総合観測器
【研究成果の概要】
宇宙空間プラズマ現象解明の鍵となる中・高エネルギーセンサーの開発のため、イオン・電子ビームライン(イオン・電子源、粒子質量分析部、ビームエクスパンダー、ターンテーブル)の設計・製作・組上を行い、8-200keVのイオン・電子ビームラインを完成させた。このビームラインを用いて50mm×50mmの広範囲に渡って一様なイオンビームを確認した。イオン種は、H+、He+、N+、He^<2+>、N^<2+>等を選択可能である。将来の衛星計画への必要性が高まりつつある半導体検出器に対して、信号読み出し回路装置と上述のビームラインを用いて性能較正実験を実施した。また、今後頻繁になるプラズマ粒子分析器の複数同時並行開発に対応するため、簡易なビームラインも新規に構築した。
ジオスペースにおける中エネルギーイオン分析器の実験室モデル(静電分析器、質量分析器、および片面シリコンストリップ半導体検出器)を開発し、室内実験によって設計通りの性能を確かめた。また、中間エネルギー電子計測のため、放射線での高エネルギー粒子による雑音を除去する手法を考案し、モデルを用いた計算によって十分な効果を確かめた。
内部磁気圏に捕捉された中エネルギー帯(1-100 keV)のイオンは、地球近傍に集積してリングカレントを作るだけではなく、余剰電流としての沿磁力線電流が電離圏磁気圏の電場ポテンシャルの配位を本質的に大きく変えることを、衛星観測、地上レーダー観測、シミュレーションを組み合わせて明らかにした。また、リングカレントの中心付近において、中エネルギー帯(1-100 keV)と高エネルギー帯(100 keV以上)のイオンが磁場を介して強く結合していることや、磁気嵐時に太陽風と地球に起源を持つ酸素イオンが大量に流入することなど、エネルギー階層間結合と領域間結合が宇宙空間の粒子環境を理解する上で重要であることを示した。
【研究代表者】