脱励起ラインガンマ線観測で解明する銀河系内宇宙線の起源
【研究キーワード】
ガンマ線 / 宇宙線 / コンプトンカメラ / シンチレーションファイバー / イメージング
【研究成果の概要】
本研究では、低エネルギー宇宙線の探査が可能な2-10MeVの脱励起ガンマ線に特化した高感度ガンマ線カメラの開発を行った。カメラは研究代表者が考案したシンチレーションファイバーを用いた電子飛跡検出型コンプトンカメラである。以前開発した小型カメラを改良するとともに、Geant4シミュレーターで検出器モデルを構築し、飛跡再構成や宇宙線ミューオンによるエネルギー較正の手法を開発した。また、ガンマ線の複数回散乱事象を検証可能な大型のカメラを設計・製作し、カメラを構成するCMOSカメラ等の評価を行った。尚、大型カメラ設計の際に考案したガンマ線のエネルギー・到来方向再構成の手法の特許申請を行った。
【研究の社会的意義】
本研究では、1GeV以下の低エネルギー宇宙線の探査が可能な2-10MeVの脱励起ガンマ線に特化した高感度ガンマ線カメラの基礎開発を行い、その有効性を実験的に検証することを目的とした。もし、本研究で開発に成功すれば宇宙線研究の核心的な問題である(a)加速粒子種、および(b)銀河系内エネルギー収支の問題に迫れる。一方、本研究で開発するカメラで感度が高く撮像することができれば、核融合や放射線治療など、原子核の反応に関連する広い分野で応用する可能性がでてくる。本研究期間内では、このようなガンマ線カメラの基本的な要素技術の開発を進めることができた。
【研究代表者】