エアロジェル中の液体ヘリウム3の超流動
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
エアロジェル / ヘリウム3 / 超流動 / 液体ヘリウム / 超音波
【研究成果の概要】
エアロジェル中のヘリウム3の超流動を超音波測定により研究する事を計画し、以下の項目について成果を得た。
1.超音波測定システムの作製
超音波測定装置として、本研究費の備品費より購入した超音波レシーバを用い、精密な音速測定を可能にする直交検波を行うことができるシステムを構築した。超音波パルス発生装置には東京工業大学の備品を利用していたため、研究代表者の金沢大学転任に伴い、新しい測定装置の製作が行われ測定系が構築された。
2.エアロジェル-ヘリウム4複合系の音波モードの観測
超音波測定装置の性能評価とエアロジェル中の音波の伝播の概要を理解するために、液体ヘリウム4中に実際に合成したエアロジェルを浸し10MHzの周波数において超音波測定の実験を行った。その結果、エアロジェル中の液体ヘリウムを伝播する超音波は、エアロジェルによる散乱によりかなり大きな減衰を示すことが明らかになった。また、ヘリウムのみの場合に見られるフォノンとロトンの散乱による吸収ピークはエアロジェル中では発見されなかった。重要な発見として、音波の伝播速度がエアロジエルの密度に大きく依存することが観測された。この系ではエアロジェルと液体ヘリウムの両者が結合した音波のモードの存在が予想され、我々の実験では音波モードのうち速い音速を持つモードの観測に超流動と常流動の両相で成功した。この研究の成果はPhysica Bに掲載された。
3.核断熱冷凍装置の製作
平成11年4月より、研究代表者の松本が東京工業大学より金沢大学に転任した。このため、ヘリウム3の超流動を実現するために必要な核断熱冷凍装置を新しく製作しなくてはならなかった。平成11〜12年度とこれに取り組んできた結果装置の基本的部分については完成を見た。さらにヘリウム3の超流動転移温度である1mK以下の温度に到達するように装置の調整が行われた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
奥田 雄一 | 東京工業大学 | 理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)