ラグランジュ描像における相対論的回転星の進化
【研究キーワード】
相対論的回転星 / ラグランジュ的定式化 / 星の進化計算 / 非線形連立方程式の解法 / 非線形連立方程式 / 一般相対論 / 数値計算
【研究成果の概要】
本研究では、超新星爆発後に誕生する原始中性子星がニュートリノを放出することによりゆっくりと冷え、良く知られた中性子星へと落ち着いていく様を調べる数値計算手法を提案する。
現実的には星は回転しており扁平な形をしているが、今までそのような進化計算に適したラグランジュ座標による定式化は存在しなかった。前年度には、オイラー座標による回転星平衡形状計算において用いられる特殊な角運動量分布を仮定し得られる力のつり合いの式の解析的な第一積分を使うことなく、ラグランジュ座標による定式化を行い、得られる非線形連立方程式を低解像度で求めることに成功した。
本年度は、まず数値計算の精度を相対論的ビリアル定理で評価し、必要な精度を確保するために必要な標準的解像度を設定した。前年度、W4法の疎行列分解によりアインシュタイン方程式の数値計算コストを抑えることには成功したが、本年度はさらにW4法を用いて高解像度でオイラー方程式を解くためSlice-Shooing法を考案した。また、オイラー座標による一般相対論的回転星で用いられる角運動量は軸対称かつ定常の条件のもとに定義されているため、本研究のような進化計算には適していないことがわかり軸対称のみから求まる角運動量を本研究で用いるように定式化を変更した。
これらにより得られた回転星を用いて、冷却計算、質量降着や質量損失によるテスト計算を行った。以上の成果は論文としてまとめ、国際雑誌に投稿し現在査読中である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)